
居合とは
居合とは、別名抜刀術とも呼ばれ、剣術が刀を構えてから立ち合うのに対して、刀を鞘に収めた状態から、とっさの攻撃、或いは敵の機先を制して相手を制する日本古来の武道です。
居合道の精神は、「居合とは人に斬られず人斬らず 己を責めて平らかの道」という居合道歌に詠われているように和の精神を基本とし、戦わずして全てを治める事が究極の目標であります。それは「森羅万象全てに対応する事」であり、日常の稽古を通してその精神を養う事が大切です。
夢想神伝流について
当会に伝承されている夢想神伝流は、戦国時代、山形県に於いて「林崎甚助重信」という侍が、厳しい修行の末に編み出した林崎流抜刀術を起源とし、第7代「長谷川英信」によって工夫された後、無双直伝英信流となりました。
江戸の中頃に土佐に伝わり、無双直伝英信流、またそこから分派した無双神伝英信流は同地で盛んになり、直伝流には谷村亀之丞や大江正路、神伝流には下村茂市や細川義昌等の名人が現れ、明治から大正に掛けて全国へと広がりました。
無双神伝流の流名は香川の植田平太郎範士へと受け継がれましたが、昭和の剣聖といわれた中山博道範士は、神伝流第十五代細川義昌に入門し無双神伝流を修めた後、自らの創意工夫を加えて昭和八年に「夢想神伝流抜刀術」として公開し全国に普及させました。戦後、剣道の復活と共に居合道も見直され、現在では剣道連盟を始めとして多くの団体によって伝えられ、沢山の剣士達が修行に励んでいます。
独演
夢想神伝流 大森流 12本
長谷川英信流 10本
奥居合 23本
全日本剣道連盟制定居合 12本
全日本剣道連盟制定居合
全日本剣道連盟居合は、昭和44年に制定された全国共通の居合であり、各流派の形を参考にして作られた流派に囚われない居合です。審査や大会では、自分の流派の形の他に、この制定居合から指定技が出されます。当初は、剣道家の為の居合として剣道家への普及を目的としておりましたが、現在では多くの居合道家にも受け入れられ、全剣連加盟の道場では、必ず稽古されています。
居合の形について
居合道は、独演の形と組太刀の形があります。初心者の方は、まず初めに独演の形を覚えます。
独演とは、相手がいるものと仮定して(これを仮想敵と言います)その相手の攻撃に対応するように定められた形を繰り返し修練して覚える物です。
組太刀(二人一組で行う)
「位取り」も合わせて修得します。
位取りとは、二人で行う形であり、夢想神伝流に伝わるものです。独演の形で培った居合のエッセンスを実際に相手が居る状態で表現するものであり、木刀を使用するとはいえ、生半可に行うと怪我をします。当会では師範の正しい指導の下に、細心の注意を払って稽古をします。実際に相手がいる事で居合における「敵」との関係性を理解するのに大いに役に立ちます。
段位等について
全剣連では、居合の修得度合を測るため段級審査を行います。これは、審査会場にて古流と指定された制定居合を合わせて5本抜き、その修得の度合、練磨の度合を審査します。
最高段位は八段ですが、それまでには最低でも30年以上掛かります。
また、年に数回試合形式の大会があります。
試合は、二人または数人で指定された技5本を各々抜き、技前を競うものです。